俵屋宗達の「伊勢物語図色紙 禊(第六十五段) 」が2階に展示されています。



先月、京都国立博物館-琳派400年記念祭-でも、俵屋宗達の伊勢物語図色紙を数点観ましたが、
元々、伊勢物語に興味があるので好きな美術品の1つです。

絵に描かれている青年は宮仕えの見習生。

ある日、帝にお仕えする女性、その美しさゆえに帝に特に愛された女性、に一目惚れしてしまいます。

青年の情熱にほだされて恋仲になってしまうのですが...

女性は帝にばれないように、世間にばれないようにしようとするのに、恋の熱病におかされている青年はお構いなし。。
帝にばれたら身が破滅しますよ。と諭されれば、彼の中の恋の炎はさらに燃え上がる。

思うには忍ぶることぞ負けにける逢ふにしかへばさもあらばなれ

あなたを想う気持ちの方が、その気持ちを抑えようとする気持ちよりも勝ってしまう...どうにも止められません。
という歌をうたいます。

節度ある行動をとってほしいと諭しても堂々と彼女への想いを露わにする彼...とうとう噂が広まり、気まずくなってきた女性は
実家へ戻ります。

どうにも止められない彼は、そんな彼女の気持ちを察するどころか、彼女は自分ともっと接触したいために実家の方へ戻ったのではと解釈...足繁く彼女の実家に通います。状況はますます悪化していきます。

彼女への想いはこんこんと止めどなく溢れてくる...

片思いは、相手と自分、というよりも、ひたすら自分自身との闘いなんじゃないかと思った時がありますが、どうにも止まらない彼女への想いに彼は身を焦がしていきます。頭がおかしくなり、自分をコントロールできない。
苦しくて苦しくて仕方がない。。。
自分ではどうにもできなくなってきた彼は、無理だろうと思いながらも、神頼みに走ります。
「恋せじといふ禊(もう恋をしないようにという禊)」をしてもらったのです。
お禊が終わると使用した幣(ぬさ;布や紙を串につけたもの)を川に流して儀式は終了

-それが本作品の場面-

おさまると想った恋心はどうなったかというと....
「いとど悲しきこと数まさりて、ありしより異に恋しくのみ覚え」たそうです。
彼女への想いはさらに燃え上がってしまった...

恋せじと御手洗川にせし禊神はうけずもなりにけるかな

恋をするまいという禊を神様は受け入れて下さらなかった...
「かな」は深い失意が感じられる詠嘆だそうです。

川の上流がいったんスクリーンアウトしてまた左下に現れます。いったんスクリーンアウトすることで、川の長さを想像できます。幣と共に彼女への情熱を流して消してしまいたいと神にすがる想いと、無理だろうなという諦めの気持ちが混じったような表情...そんな彼の心情と悠々と流れる長い川がマッチすることで余計にもの悲しさを感じるような気がします。

結末は...帝にばれてしまった女性は蔵に閉じ込められ、青年は都から追放。
身から出た錆だと後悔の念にさいなまれる(愛する帝を裏切ってしまった)彼女には、もう、青年への想いはありません。

そうとは知らず、彼はその蔵に足繁く通い、蔵の前で笛をふき、歌を唄う。

さりともと思ふらむこそ悲しけれあるにもあらぬ身を知らずして

女性:まだ彼は私に会えると思っているのかしら...私は生きているとも言えない状況なのに...
                      
いたづらに行きては来ぬるものゆえに見まくほしさに誘はれつつ

男性:行ったり帰ったりを繰り返すなかで、あなたに会いたい気持ちが募っています...

こうして「第六十五段」は終わります...

切ない、切なすぎる....誰にでも忘れられない本気の好きがあるのではないでしょうか?
自分が何をしているのか分からない、自分でも自分を止められない...
昔、友人が、そんな初めての本気の恋は早ければ早いほうがいい...「本気の恋と麻疹は早いほうがいい」、と言っていたのを思い出しました。
私は、好きな名言として折りにふれて言っています笑
                            







 


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